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きちみ製麺・こけし工人 木村敦さん

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温麺(うーめん)とは、麺の分類上は「そうめん」類に分けられ、油を使わない珍しい製法で作られている白石市の名産品になります。
そんな温麺を作る製麺所の1つである「きちみ製麺」さんにて働きながら、おなじく伝統品であるこけし工人を勤めている木村さんにお話を伺いました!

-伝統的な温麺とこけし工人という二足の草鞋を履いていらっしゃいますが、どんな思いがあって今の形になったのでしょうか?

期待されるような答えにならないかもしれないですが、白石のため、とか伝統を残したい、というようなことがきっかけだったわけではなく、
自分がたまたま興味を持ったことが工芸でありこけし工人だった、という感じです。
温麺については、大学を卒業後、全国を巡るような仕事をしていたのですが、数年が経過したとき地元で働きたいと思うようになりました。
その時求人がでていたのがきちみ製麺でそこにたまたま応募したという形です。
こけし工人にしても、就活をしていた時は職人的な仕事がしたかったのですが、その道に行かず20年くらいが経過しました。
その後たまたま出会った弥治郎こけしの色使いや流派・伝統に惹かれて、偶然仕事として関わらせていただいたご縁もあってのめり込んでいきました。

-きちみ製麺さんで働いてみていかがでしたか?

元々白石出身なので、いわゆるUターン人材になると思うのですが、外の目線と内の目線両方を持つことができて非常に働きやすかった覚えがあります。
その目線から感じるのが、温麺はもっと良い売り方ができたのではないかという疑問です。
例えば牛タンといえば宮城を連想される方が多いですよね?
牛タンの例のように、白石という県外ではあまり知られていない名前ではなく
宮城というより知られている地名でブランディングを行っていれば認知のされ方も違っていたのかな、と思うこともあります。

-こけし作りに対しての思いを聞かせてください

先程もお話させていただいた通り、伝統のためというよりかは自分が楽しいので制作をつづけています。
ただ、楽しいだけで売れなかったら趣味の工作になってしまいますし、伝統もいつか途絶えてしまいます。
なので、どんな需要があるんだろうということは常に考えています。
最近では創作こけしという色や柄に囚われないような自由な作風なものが人気です。
こういった所から間口を広げてゆくゆくは伝統こけしにも興味をもってほしいなと思っています。

-マトリョーシカのような可愛らしい見た目のものから、1色だけつかったものなど色々な種類があるのですね

伝統的な色使いも好きなのですが、それだけだと飽きてしまうのでモダンな色使いをしているものなどにもチャレンジしております。
また1色のこけしは木と木をこすり合わせて発生させる焦がしを用いて色を表現しています。

-淡い色の変化が味わい深いです。

ありがとうございます。
これらは遊びの派生から作ったものなのですが、ありがたい事に好評をいただいています。
それでも注文をいただけるのはこけしを含めた工芸品の面白いところだと感じますね。
実は私、個人事業主として私自身の作品だけでなく他の先輩こけし工人の方たちの作品の販売も行っているんです。
毎日こけしを作成して、色付けや線を描かれている方の作品はやっぱり美しいですね。
私は、まだこけし工人としては〇年しかたっていないのでまだまだです。
他の素晴らしい作品を多くの方に手にとっていただきたくて国内に加えて海外にも向けて卸売の様な事をやらせていただいています。
先輩の工人の方も喜びますし、私も趣味のお酒代を稼がせてもらっています(笑)

-本日はありがとうございました。

肩ひじ張って活動するのでなく、自然体に白石の事を考えながら好きな事を続けられている姿に共感しました。
聞くとやはり白石の文化、伝統を大事にされていて、いろいろな取り組みを継続的にされている方だなと思いました。
それは、白石のために!っていう感じじゃなく、好きだからやる。結果として、だからこそ続けられるんだと思います
そうですね、伝統を守ろう!と意気込むのではなくて、自分がやりたい!という姿勢でないと続かないと思います。
私自身こけしに出会ったことや、それに携わることに決められたこと、白石温麺を販売する仕事に携われたことはとても運が良かったと思っています。

-ありがとうございます。ぜひこの記事を読んだ皆さんに白石温麺や木村さんが制作したこけしを見ていただきたいです。

きちみ製麺・こけし工人 木村敦<span>さん</span>
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