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白石では"働く"と共に"生きる"がある。環境を変えて見つけた周囲と自分らしさが共生するヒント。

髙橋啓花さん

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新しい環境で新しいことを始めれば、自分を変えられるかもしれない。
そう考え行動を起こそうとする方は多いのではないでしょうか。

しかし、変化には「痛み」が伴います。
宮城県白石市の地域おこし協力隊である髙橋啓花さんは、1年前まで東京でデザイナーとして働いていました。住む場所も職場環境もガラッと変えた先には、ある葛藤が待ち受けていました。
乗り越えるきっかけとなったのは、異なるコミュニティへの越境と対話だったそうです。痛みの先で気づいた多様性と共生するヒントについてお話を伺いました。

環境を変えて直面した「自分らしい生き方」への悩み

白石市に移住して仕事をする内に、髙橋さんの中で周囲と比べて葛藤が生まれたとお聞きしました。どういう点が周りと違うと感じたのでしょうか?

今仕事において、目標に向かってすごく頑張って走り続けられる人たちと一緒に働かせてもらっています。その中で私は、長く続けるための基盤として「心に余裕があり、今に幸せを感じながら生きることが大事」という考え方を持っています。
どちらが正しいとかじゃないけれど、頑張れない自分、頑張ってはいるけれどそんなに長時間走れない自分に対して、自己嫌悪を感じてしまう時期がありました。

確かにそういった価値観を持ちながら、ハードワークできる方々と働くのは悩みそうです。今はその葛藤についてどう考えを整理されているんですか。

いろんな人と話す中で、その人たちが思う大事なものを大事にして走っているだけだと分かりました。私は私で大事にしたいものがあるのなら、それを大事に思うのは悪いことではないと思えるようになりました。

優先順位を決めて走ることも大事だけれど、自分が苦しいのであれば本末転倒だから、別にその場の幸せに合わせこんでいく必要もなくて。ただどこに幸せのウェイトを置くかが違っただけ、と発見があった感じです。

自分の幸せと周囲の人の幸せ、それぞれをフラットに認識している感じなんですね。

何に幸せを感じるのか、どういうことをしてて楽しいのか、何を大事にするのかって本当に人それぞれなんだなって思ったんです。
どれが良いとか偉いとかじゃなくて、選択肢がある中で自分にとってどれが本当に大事で、幸せに繋がってて、と確かめて選んでいくことが人生においてすごく大事なんだろうな、と最近は考えています。

異なるコミュニティでの対話が、葛藤を乗り越えるきっかけに

最初は周囲との分かりあえなさもあったと思います。どういう経験からさっきお話いただいた発見に繋がったのか、教えてほしいです。

ずっと同じコミュニティで悩み続けていたら、多分自己嫌悪のままだったと思います。仕事を離れた場所で友人と話して「そう思っちゃうのも仕方ないね」と受け止めてもらいました。話す中で、どちらかが悪いという話じゃなく、その人はその人で大事にしているものがあるのかも、と気づいた感じです。

いつもの環境を離れて外を知りに行った、越境しに行ったことが影響している気がします。外を知ることで目の前の世界の見え方が変わるし、見えてないところに視野を広げることにも繋がったんだと思います。

少し離れた場所や人と話すことで冷静に俯瞰できて、見える範囲が広がったんですね。

自分のいる場所からちょっと離れて、信頼できる場で何かを話すって大事なんだなと改めて感じさせてもらっています。

最近コミュニティの勉強をしていて、多様性を受け入れながら補い合って生きることが幸福度的にも大事と聞きました。繋がり合う上で対話は欠かせないもので、お互いを理解するためにも大事になってくるし、話すことによって自己認識も他者認識も高まって、より良い中間点を見つけていけるんじゃないかと思います。

“働く”と”生きる”が緩やかに繋がる「白石タイム」

働く環境についてもお聞きしたいです。東京で働いていたときと今とでは、何か働き方や気持ちの変化は生まれましたか。

お天気が良ければお昼ご飯をオフィス前の土手で食べるようになったり、夕日が綺麗なタイミングでちょっと外に出て自然を見つめたりをするようになりました。

いいですね!やっぱり自然を近くに感じられると、心の状態が整ったり、リフレッシュできたりする感覚があるんですか。

すごいあります!もともと自然が好きだったこともあり、緩まる感覚があります。あとオフィスを出ると蔵王連峰が見えるんですが、夕日や山を見てると、自分の存在や考えていることがちっぽけだなぁと思えます。それはすごく良い影響をもらっていると思います。

以前お話を伺った際に、「自然の中で自分自身を見つめ直す場や機会を作ることは、人生の中ですごく大切」と仰っていたのが印象的でした。まさに個人でも実践されているんですね。

確かに実践していますね。それをみんなに広めることを白石からしていきたいと思っています。

白石市で出会う方々の共通点や特徴があれば聞いてみたいです。

そうですね。共通点としては、「白石タイム」っていうのがあるらしいんですが……

「白石タイム」ですか。

効率を考えすぎず仕事をしている感じ、というか。東京から引っ越してきた人からすると、のんびりだなって感じるくらいの速度です。仕事のために生きるというよりは、生きるために働いている。ただ、生きるために働くって言ってもガツガツ働くよりは、自分や家族の生活が養える範囲の中で無理なく働いてるんだなぁって、なんとなく伝わってきます。のんびり、ほんわかみたいな印象を受けています。

心にゆとりが持てる時間の使い方が生活の中に組み込まれているんですね。

そうそう、ゆとりを持って働いてる感じです。お茶の時間を毎日設けてて、15時くらいにお話しに行くとちょうど今お茶入れたから一緒にお菓子食べてく?と言ってもらったりします。お話に行くとほっとします。

心にバロメーターを持ち、持続可能に生きる

最後に、髙橋さんにとって「心が豊か」とはどんな状態か、お聞きしてもいいでしょうか。

周りの草花や空の綺麗さをちゃんと味わえることが一つ、あるなぁと思います。自分の中のバロメーターとしてなんですが、自転車に乗っているときにお花を見て「今日も綺麗」と思ったりとか、空を見て「いいな、この空」と思ったりとか、綺麗なものに対して綺麗だと思える心を持てている状態です。

あとはやっぱり、周りの人を思いやれていることも心のゆとりがあるかないかのバロメーターになっています。どれだけ忙しくても、自分はもちろん、周りの人が大事にしたいものにも思いを馳せられている状態が、心豊かな状態かなと思います。

いっぱいいっぱいになると気付きにくいですよね。そこに繋がるためにも、髙橋さんは今回対話や越境を通じて、自分の大切にしたいものと相手が大切にしたいものを認識できる状態になれたんだなと思いました。

ありがとうございます。気付きにくいですよね、本当に。
弱さを語れる場があることって、人間にとってすごく大事なんじゃないかなと感じています。誰しも弱い部分は持っているわけで、でもそれを場に出すことによって違う見え方を教えてもらえるし、出してみたら意外と大したことなかったという発見もあります。

自分の中で悶々と考えるよりは、晴れた気持ちになれたりとか、明日を生きる活力を得られたりとか。私も弱みを出せる場を作る意味を自分の中で問い直すというか、大切だなって思い直しています。私自身もそういう弱みを話せる人がいることに、改めて感謝だなと思っています。

髙橋啓花
Profile

髙橋啓花さん

兵庫県神戸市出身。2018年東京の会社に新卒入社し、社会人3年目の2020年8月に"人がより心豊かに生きる/働く"を探求し広めたいと思い、白石市への移住を決める。
地域おこし協力隊として「SHIROISHI ト」のプロジェクトに関わり、白石の魅力に触れてもらうために、東京でコワーキング/イベントスペースの運営や白石市の自然の中でのワーケーション、自己や他者との対話の場としての施設づくりに携わっている。