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人との違いを楽しめるようになった。
自然の中の対話で柔らかくなる心。

中村真知子さん

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異なる価値観を持つ他人とどう向き合うか?

人間関係における大事な問いだと思います。私達は気が付くと自分と近しい価値観を持つ人と一緒に過ごそうとしてしまいます。しかし、予想外の出会いや人生における大きい気づきをもたらしてくれるのは、異なる価値観を持つ方ではないでしょうか。
「違う」ことへの違和感を乗り越えると、新しい世界が待っているかもしれません。
そして「違い」を受け入れるためには、深い自己理解と受容が必要です。

東京を離れ、宮城県白石市の地域おこし協力隊として活動する中村真知子さんに、対話と自然がもたらした内面の変化についてお話を伺いました。

「周りがどうか?」より「私はどうしたいのか?」

白石市で地域おこし協力隊として活動することで、自分自身の変化はありましたか?

穏やかな内面の変化がありました。
白石に来るまでは、ずっと東京で忙しく仕事をしていました。とにかく目の前の仕事に必死で慌ただしく走っていたんです。白石での生活は、本来の私は心の豊かさを大切にしたいタイプだったことを思い出させてくれました。
例えば、虫の音が聞こえてきて朝起きると目の前に大きな山が広がっているんです。
自然に溢れた環境で暮らしていると、謙虚な気持ちになって「生かされている」と思えます。

人との関わりも影響しているんでしょうか?

大きいと思います。
白石で関わる方は、変に焦っていないというか「せかせかしていない」印象があります。
もちろん成果も大事なのはわかります。ただ、それ以上に目に見えない心の豊かさや、人とのつながりが日常に溢れていることを実感出来たのがすごく良かったなと思います。

具体的にどんな場面でエピソードをありますか?

この前、グリーンパーク不忘にキャンプにみんなで行った時の出来事でした。
ご年配の方に「ゆっくり車で乗ってみんなで回ろうよ」と声を掛けられました。
その方自身が何かに追われるわけでもなく、そのまんまでいて自然体な印象でした。
自分らしく生きている方と一緒に過ごすと、私自身もリラックス出来て楽しい時間だったのを覚えています

地域起こし協力隊としての活動では対話を大事にしていると伺いました。対話によって得られるものは何ですか?

対話によって「周りがどう考えるか?」「組織の中にいる人間としてどうか?」以前に「私がどう思うか?」といった問いが深まります。
白石に来る前まではどこか「仲間」に固執している自分がいて「仲間のために」が前提でした。こちらでは、組織の中にいる自分ではなく、私自身は何をしたいのか?何をするのか?個人のストーリーについて問われる機会が多くあります。
自分自身が何を大事にしているのか?を考えさせられます。

自分と向き合う内省の深さは対話だけでなく、自然の影響もあるんでしょうか?

川のせせらぎや目の前に広がる山々に囲まれると、気持ちがオープンになり謙虚な気持ちになれます。冷静になって自分自身を見つめる機会は前より増えたと思います。ありのままの自分で対話出来ると、色んな執着を手放せるので自然の影響は大きいと思います。

「違う」からこそ、補い合える関係になれる

焚き火を前に語り合う機会もあると伺いましたが、感想を聞いてもいいですか?

対話の場が深まる印象があります。
普段は話さない内容だったり、自分には本当はこういう部分がある、だったり。

心が落ち着き、オープンになる作用があるんじゃないでしょうか。
お互いに面と向かうのではなく、火を見ながら喋るので圧力も感じにくいですし(笑)
焚火は主に夜で、部屋の中でも外でも囲んだこともありました。

時間に追われず、ただみんなで座っていると心が落ち着いていくんですね。互いに聞き合う場があるので、みなさんの話だけに集中している感覚がありました。

「SHIROISHI ト」のプロジェクトではキーワードとして「越境」もありますが、中村さんの越境体験についても聞いていいですか?

異なる価値観との交流による気づきで言うと、実は元々知っている人との越境経験が思い浮かびます。元々知っていた方で白石に来てから、より関わりが深くなった方がいました。
それまでは、自分と似ていると感じていたので分かり合えると、どこか思い込んでいました。ただ、お互いの距離が近くなると、大事にしているポイントが違ったりする部分が出てきました。

当然なんですけど、お互いに違う経験もしているので、価値観も異なるんですよね。
すると「なんで分かってくれないのか?」と思ってしまい、そう感じてしまう自分に蓋をしてもいました。心の奥底では信頼していますが、表面の言動や行動に自分の価値観とのズレを感じてしまっていたんです。改めてお互いに違う前提に気づき、ふと冷静になった時に同じ対象でも解釈が全然違うんですよね。だからこそ、今ではお互いに補えると思います。
違いを楽しめるようになったのは、自分の中での越境だったポイントです。

違いを楽しめるようになったのは。何がそうさせたんでしょうか?

心の中にどこかトゲトゲした部分があり、自分自身で蓋をしていたんだと思います。
頭では分かっていたけど心が一致しないみたいな部分を率直に人に話しました。
抱えていた痛みに共感してもらい癒してもらったのが、大きかったです。

ー大きい変化だと思いますが、中村さん自身が周囲から変わったと言われますか?

ずっと関わりがある先輩から「視野が広くなってる」と言われました。
私自身も自分事として捉える範囲が広がっている感覚があります。今までは、自分が全体の中で限られた範囲の役割を全うする認識でしたが、今では作る側になっている心の変化があります。

自然の中だからこそ、本来の自分に立ち返りやすい

「SHIROISHI ト」のプロジェクトに関わって中村さんが得たものなんですか?

表面的ではなく深い部分で人を信じられるようになりました。
物理的に一緒にいて同じことをやってなきゃ仲間じゃないみたいなことを以前は思っていました。今は、仲間に固執していた自分を手放せ、物理的に離れていても繋がっていると考えられるようになっています。

人との関わりも影響しているんでしょうか?

大きいと思います。
白石で関わる方は、変に焦っていないというか「せかせかしていない」印象があります。
もちろん成果も大事なのはわかります。ただ、それ以上に目に見えない心の豊かさや、人とのつながりが日常に溢れていることを実感出来たのがすごく良かったなと思います。

何がそうさせたんでしょうか?

自分を見つめ直せる経験が大きかったと思います。こちらでは、経営者の方や自分を持っている方と対話の機会が増えました。対話の中で「自分は何者なのか?」「自分は何をしたいのか?」の問いが深まったんです。
仕事の結果や成果だけではない見えないものの幸せが感じられ、より自分らしくなった気がします。

「目に見えないもの」の幸せはどんな時に感じますか?

決して特別なことではなく例えば、近くにあるスーパーでも感じます。
私が行くスーパーはお客さんが特別多くなくても、従業員の方がたくさんいるんですよね。せかせか仕事に追われてなくて、皆さん同士で話をしながら楽しそうにそれぞれのペースで仕事をしています。余白があるからこそ生まれるコミュニケーションを見ていて、「誰かと共に生きるってこういうものだよな」と思いました。

それこそ「心の豊かさ」があるのかもしれませんね。

私も白石に来て自分が本当に大切にしたいものが見つめ直せています。
「自分は本当は何を大切にしたいのか?」は人生で重要な問いですが、日頃忙しくしているとなかなか考えられないんじゃないんでしょうか。
自然の中だと本来の自分に立ち返りやすく、だからこそ、白石に来てよかったな、と思えています。

中村真知子
Profile

中村真知子さん

東京の台東区出身で下町育ち。2018年東京の会社に新卒入社し、社会人3年目の2020年8月白石市に自分のやりたいことを実現するため移住を決める。地域おこし協力隊として「SHIROISHI ト」のプロジェクトに関わり、白石の魅力に触れてもらいながら異なる価値観の人と出会い、自己を深める対話の場を運営している。「SHIROISHI ト」でコミュニティのネットワークを作り、白石の関係人口創出に繋げられるよう日々活動中。